編集部ブログ『kamiメモ』
山本先生が見た素顔のキング・モー(ノブ)
2008年10月1日 1:177月にアメリカ・カリフォルニア州で長南亮選手を取材した際に知り合った東京・世田谷区「はなまる整骨院」の山本建先生。長南選手をはじめチーム・クエストの選手たちの身体をケアしている先生が、キング・モーのセコンドにつきました。
ボク自身はハッスルの取材で名古屋にいたため、モーのデビュー戦は観られなかったんですが、7月のアメリカ取材で彼の練習を観て度肝を抜かれ、じつは『kamipro No.126』でインタビューを掲載しています。おバカなノリはソクジュやジェイソン・“メイヘム”・ミラーといったチーム・クエストの同僚たちと共通なんですが、ちょっとミステリアスな部分もあって、将来的に凄い存在になる雰囲気がプンプン漂ってました。そして唐突に発表された9.28『戦極〜第五陣〜』のデビュー戦。残念ながら観に行くことはできなかったんですが、凄く気になってました。
今回、長南選手が『UFC88』に出たときにも渡米してレポートを寄稿してくれた山本先生が、今回のモーの『戦極』参戦についてもレポートを書いてくれました。いつもありがとうございます! 整骨院の先生としては凄腕で多くのファイターたちが信頼を寄せている先生ですが、原稿でも絶妙のツボを突いてます!
「素顔のキング・モー」 山本建(はなまる整骨院)
まったく緊張しないキングモーに驚いた。
いつになったら戦う前の緊張した顔になるのだろうか……。何人ものファイターの試合前の顔を見てきた私だがキングモーだけは全く緊張しないのだ。
アメリカで敵なし状態が何年も続くとこんなに堂々とできるのだろうか? 第一試合私はライアンシュルツのセコンドについた。試合前 落ち着くのに必死な様子で同じ場所を行ったり来たり ブツブツなにか言っていたり たいていの選手もそうなる。
でも、キングは違う。
しかし、キングは第7試合だが第6試合が始まると流石に黙り込み、下を見てブツブツ言いだした。そうだよそれが普通だよ。神妙な顔をしている。いよいよ集中力を高めだしたか。うんうんよしよし。
「ケン ちょっときて!」
「どうした? モー」
「ダンサーたちにセクシーに踊るように言ってくれ!」
「えっ?」
「で、ダンスはこうだ。1、2、3と俺が前に進むから、それに合わせて一緒に前に進み、俺が3歩歩いたところで止まるから、そしたらまた3ポイントセクシー・セクシー・セクシーと踊ってくれ!」
緊張していたんじゃないダンスの仕方を考えていたのだ。で、またしばらく下を向き神妙に……。いよいよ集中力をあげてい……?
「ケン ちょっと来てくれ」
「なんだ? モー」
「3ステップじゃなく4ステップにする。4歩あるいて4拍セクシーダンスをしろと伝えてくれ」
「……わかった」
やつは寸前までと言うか試合自体もまったく平常心で闘えるタイプなのだ。度肝を抜くヤツだ。
闘いを終えたキングモーとマックでさっきまでお茶していた。そんなに付き合いが長いわけではないけどアメリカでのケア、日本での様々なケア、そして今回セコンドについた件を含め、どうやら心を開いてきたらしくこんなことを漏らした。
「ケン。日本では今回最高の勝ち方してみんながニコニコ話しかけてくれるけど、アメリカではニガー(黒人差別用語を英和電子辞書を打ちながら見せてくれた)と呼ばれたりするんだ。少しは見返せたかな?」とつぶやいた。
「そうか、未だに差別的なことがアメリカでは起こっているのかい? でも、日本人は黒人も、白人も、もちろん黄色人種も差別が少ないと思うよ。当然、見返せただろうよ」
「おれはこれ(格闘技)で成り上がるよ」
「そうだね。 同じ黒人だけどマイケル・ジャクソンやマイク・タイソンもニガーといわれるの?」
「いや彼らのことは言わないよ」
「じゃぁ彼らみたいになればいいんだよ、これで。できるサポートはするからさ!」
「ああそのつもりだ。サンクス」
しっかりハグをして成田空港行のバス停まで送りとどけた。ファイターとして勝ち続けることは簡単ではないけど何か目指すものがあると、そこに向かって走り続けられる。
キング・モー。
彼ならその目標に届く日がそれほど遠くはないのではと思いながら去るバスを見送った。

※山本先生はモーのすぐ右隣

