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戦極ライト級トーナメント、いざっ!! 北岡悟インタビュー【後編】

戦極ライト級といえば、その中心人物は五味隆典ということになる。PRIDEに間に合わなかった北岡悟は、五味にどのような印象を持っているのだろうか? そして、ほかのトーナメント参戦選手と自分ではどこが違うのかを徹底的に語ってもらった。静かな闘志を燃やす北岡の心の叫びを聞け!

聞き手/坂井ノブ



二日で7キロ落としてすぐに7キロ戻します


北岡 すいません、今日はちょっとダウン気味であまりおもしろいことが言えてないかもしれないです。

――えっ!? ダウン気味なんですか? ハードな練習の直後だったりとか?
北岡 ええ、まあ。

――すいません、そんな大変なときなのに。ちなみに、いまはどんなスケジュールで練習してるんですか?
北岡 練習しないときは全然やらないんですけどねぇ……ちょうど、今週から追い込みが始まったんで。

――試合が目前ですからね。
北岡 ミット打ちやって、グラップリングやって、筋トレやって、あとはバーリ・トゥードのスパーリングをやったり。週2回パンクラスの横浜道場でのismの練習を行って、DEEPジムに行ったり、渋谷での練習会に行ったりして、そんな感じですね。

――ちなみに、今回のトーナメントは70キロということですが、減量もきついんじゃないですか?
北岡 パンクラスではずっと75キロだったんですよ。今年の初めは77キロで試合をやったんですけど、身体がちょっと絞りきれてない感じでした。だから、77キロか70キロかでいったら、70キロの方が合ってるんでしょうね。

――ちなみに、いまは何キロですか?
北岡 だいたい8Xキロです。

――かなりありますね。
北岡 日本人だと僕ぐらい落としてる選手はあまりいないですけど、海外じゃそれぐらいはあたりまえみたいですよ。

――計量前日に一気に5キロ落としたりとか、そういう選手がザラですね。
北岡 僕は試合二日前から落とします

――落とし始めるときは何キロぐらいですか?
北岡 だいたい77キロですね。

――ということは、二日で7キロ落とすんですか?
北岡 当日には7キロ戻りますね。みんなそれぐらい戻ってるんじゃないですか? 重い階級の選手ならもっと戻してると思いますよ。今後はそれがあたりまえになってくるとは思うんですけど。

――トーナメントに出るほかの選手についてはいかがですか?
北岡 「みんな一回戦頑張ってください」って感じです。一回戦勝ってから勝ちあがってきたほかの3人のことを考えたいですね。「ただ単に勝つ試合をやるのか? それとも、どんな印象をつけるのか?」っていう部分が勝負だと思うんですよ。だから、「みんな頑張ってください」って。もしかしたら、そのへんに自信があるのかもしれません。

――ただ単に勝つ試合じゃないぞ、と。
北岡 そうですね。プロとしてのケレン味が違うというか、苦労してここまできたという自負もありますし、僕はただ組まれた試合をこなしてきただけではないですから。ほかの7人とはその差が圧倒的にあると思います。その点で自信はあるんで、あとは勝ち抜くだけです。一回戦には凄くいい相手を用意してもらったんで、充実した練習をして挑めそうなんで楽しみですね。

五味選手にはボクシングの世界王者のような雰囲気がある


――で、その階級に五味選手がいるわけですけど。
北岡 とにかく、強いという印象がありますね。僕がパンクラスに入る前、パラエストラにいて、五味選手がプロ修斗でデビューして勝ち上がっていった時から見てます。同じ空間には何度もいたことがあるはずなんですけど、面識はほとんどないです。『戦極』でちょっとずつ関わるようになりましたけど。イメージとしてはボクシングの世界チャンピオンのような独特の雰囲気ですよね。

――具体的にいうと、どんなイメージですか?
北岡 厳しい闘いの世界で生き抜いてきた雰囲気がありますよね。『戦極』でも(ドゥエイン・)ラドウィックに勝ちましたけど、ああいう雰囲気でああいう勝ち方ができる選手は日本に他にはいないですから、やっぱり特別な選手だと思います。

――強さの秘訣はどんな部分だと思いますか?
北岡 頑丈そうですよね。首からアゴのあたりとか凄く強そう。でも、僕が対戦するとしても殴りにはいかないでしょうから(笑)。身体の使い方が凄いですよね。打撃も身体をムチみたいに使ってて……、こういう話はあまり『kamipro』向きじゃないですよね(笑)。

――あ、空気を読んでいただいてありがとうございます……、ってそれぐらいの技術的な話なら僕でも分かるんで全然大丈夫ですけど(笑)。確かにムチみたいにしなるイメージはありますね。
北岡 身体の使い方がうまいですね。(山本)KID(徳郁)選手はバネみたいな感じで、また五味選手とも違うんですけど。自分の世界がしっかりしてて、「こうすれば勝てる」という理屈が身体の中にあるんでしょうね。

――勝つための何かを知ってる、というか。
北岡 そうですね。僕とは種類が違います。……3回勝ったら対戦する……かもしれないんですよね?(笑)。

――そうですね。このトーナメントという形式自体はいかがですか?
北岡 最初は凄く嫌だったんですよ。トーナメントやったら勝ち抜かないといけないし、シビアだし、序列もできちゃうし。でもだんだん、これで良かったなと思うようになりました。ごまかしながらゴニョゴニョやるよりいいかな、と。

――勝ち抜けばトップに立てるというのは明快ですよね。
北岡 そうですね。このメンバーの中ではとりあえずはトップに立てますからね。自分は何のチャンピオンでもないのに呼んでもらって本当にありがたいです。五味選手は『PRIDE』でチャンピオンだった人だし、僕は『PRIDE』に間に合わなかった人間で。五味選手は次の大会のメインイベントで試合をしますけど、僕は前座として、一緒に大会を盛り上げてクオリティの高いものを作り上げていけたらいいと思いますね。日本にはもう一つ『DREAM』というイベントがありますけど、それに負けないいいイベントを作りたいですね。凄く優等生な発言ですけど(笑)。

――ハハハハ。
北岡 だから、五味選手に対して「オラオラ!」という気持ちは、いまはまったくないですね。一回戦のうちから、そういうギラギラしたものは必要ないかなって。トーナメントに優勝したいという気持ちはギラギラしてますけどね(キッパリ)。

――時と場合によってギラギラを使い分ける、と。
北岡 そうですね。

ほかの人たちとはやってきたことが違うから


――あと、『戦極』といえば独特の演出や煽りVTRが話題になってますけど。
北岡 あの「シャキーン!」ですか?

――そうですね(笑)。
北岡 煽りVTRの池田秀一さんのナレーションは凄く嬉しいことでしたね。僕は凄くガンダムが好きだったんで。『戦極』旗揚げ戦のときに川村(亮)のセコンドで大会に行ったとき、初めてそこでシャアの声だってことを知って「マジで!?」って興奮しましたね。そのときは、第二陣にはもう出るという話になってましたから。「シャアに呼んでもらえるんだ!?」って。もちろん、立木文彦さんに呼んでもらっても興奮したとは思うんですけど(笑)。まあ、それは縁だと思いますからね。

――そのほかの部分はいかがですか?
北岡 最初は演出の部分は仕方がないと思うんですけどね。『DREAM』っていうのは『PRIDE』と『HERO'S』が合体したイベントなので、継続した流れがありますよね。『戦極』は『PRIDE』を模倣して一から組み立てていってるイベントだと思うんで、これからどんどんよくなっていくんだと思うんですよ。いまのファンは『PRIDE』でいいものを見てきてると思うんで、厳しい目を持ってますから。ただ、フラットな目線で見たときに、揶揄されるようなイベントとは思えないですよ。試合にしてもレベルが低いとは思えないですし。

――けっこういい外国人選手を呼んでますよね。あまり知名度は高くないですけど。
北岡 そうですね。みんないい動きをしてますよね。ファンの目が厳しくなってるのは仕方のないことですから。僕らは選手なんで、イベントの演出とか作りのことに関してああだこうだと言う必要は一切ないと思うんですよ。選手はいい試合をすることだけに集中すればいいんで……、いい試合をしたいです!

――スターが出ればイベント全体も盛り上がりますしね。
北岡 スターになりたい! お金持ちになりたいです(笑)。

――プロとしては当然の欲求ですからね。『PRIDE』で日本人選手のスターが生まれて、大きな存在になっていく過程を目の当たりにしたのは、北岡選手の中で大きいですか?
北岡 でも、『PRIDE』で軽量級の選手でスターになったのは五味選手ぐらいじゃないですか。スターということで言えば『HERO'S』の方がスターを生んでたんじゃないですか? KID選手とか所(英男)さんとか。(須藤)元気さんは『HERO'S』に出る前から一定のラインには立ってたような気がするんですけどね。いまは、そう考えると、『DREAM』にはやっぱりちょっと『HERO'S』っぽい部分があるような気がしますね。

――同じTBSで放送してるというのもありますし。
北岡 グランプリが終わったけど誰の評価も落ちなかったですよね。ああいう結果に終わったというのもあるんでしょうけど、潰し合うようなことにはなりませんでしたよね。川尻さんと(エディ)アルバレスがいい試合をして、宇野さんもいいディフェンスを見せて、負けたけどしぶといところを発揮して評価が落ちなかったし。青木も本当に凄く頑張ったし。

――潰し合いのはずのトーナメントで誰も評価を落とさなかったというのは奇跡的かもしれませんね。
北岡 『戦極』のトーナメントのほうが容赦のない結果が出ると思いますよ。
それこそ光岡(映二)さんも僕も大きなイベントの本戦には一回しか出たことがないし。廣田(瑞人)選手も横田選手も初参戦ですから。そういう部分での覚悟というのは僕が一番持ってますんで。ぶっちぎりじゃなくても勝たないと意味がないですから。

――そうですね。
北岡 まあ、自信はあるんですけど(笑)。勝たないと次に進めないですからね。ほかの人たちとはやってきたことが違うから。いい感じの結果になるような気がします。テンションは前向きで、もうヤバいですね。

――では、勝利の戦極ポーズを期待してます!
北岡 えっ、やるんですか?(笑)。もう、引っぱらなくてもいいんじゃないですか。メインで勝った人がやればいいんですよ。

――でも、次の大会は五味選手がメインですよね。たぶん、勝ってもやってくれないような気がしますから。
北岡 もう、いいんじゃないですか。しばらく経った頃に「あんなのもあったなぁ」って感じになれば。ジョシュが来たときにやってくれればいいと思うんで(笑)。
【08年7月29日、P's LAB東京にて収録】
きたおか・さとる■1980年2月4日、奈良県出身。パラエストラで総合格闘技の練習を積み、パンクラスismに入門。07年、DEEPで行なわれたPRIDEライト級GP出場者決定戦に勝ったもののPRIDEはその後、活動を休止して事実上の消滅へ。『戦極〜第二陣〜』ではイアン・シャファーに勝利している。168cm、75kg。

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