Kamiインタビュー

あの感動がオーケストラverでよみがえる!! 故・橋本真也さんの入場テーマ曲「爆勝宣言」の作曲者・鈴木修さんが語る破壊王のエピソード!!
05年7月11日に急逝した故・橋本真也さん。破壊王が繰り広げた数々の名勝負で必ずかかっていたのが、今回登場していただく鈴木修さんが作曲した『爆勝宣言』だ。鈴木さんは「ミスター・プロレステーマソング」と呼ばれるほど、数々の名曲(武藤敬司『HOLD OUT』、小橋建太『GRAND SWORD』、越中詩郎『SAMURAI』など)を生み出しており、このたび橋本さんとの約束をはたすために『爆勝宣言』のオーケストラバージョンを発売することになった。そんな鈴木さんに、親交が深かった橋本さんとのエピソードを語ってもらった。
聞き手/真下義之
「これや! このジャケットが俺のイメージや!」って持ってきたのが『フットルース』のサントラ(笑)
――今回は、橋本真也さんの友人であり、『kamipro』(No.112)でも破壊王エピソードを語っていただいた“ミスター・プロレステーマソング”こと鈴木修さんにお話を伺いたいと思います!
鈴木 よろしくお願いします。……というか橋本さんのヤバイネタはかなり話しちゃったんですけど(笑)。
――かなり暴露済みでしたか(笑)。ただ本誌を読んでない方も多いと思うので、あらためて破壊王のことや、今回リアレンジされて7月11日からデジタル配信され、今秋にはアルバムにも収録される『爆勝宣言 ―活―(オーケストラVer)』を中心に伺いたいんですが、鈴木さんは一番最初はテレビ朝日さんで音響を担当されてたんですよね。
鈴木 ええ。最初は選曲がメインでした。ビッグ・バン・ベイダーのテーマ曲を選んで効果音を付けたり。馳浩さん、レッドブル軍団の曲なんかをアレンジしたり。
――ボブチャンチンも使っていたレッドブル軍団のテーマまで! それで破壊王のテーマを作られたのが、作曲道に進むきっかけだったとか。
鈴木 藤波辰爾さんがヘビー級に移った時期の曲(『RISING』)も最初にやってるんですが、本格的に取り組んだのは『爆勝宣言』でしょうね。最初、橋本さんは、僕の選曲したものでは納得しなくて「自分で選ばせてもらう!」と宣言してテレビ朝日のレコード室で自ら選曲したんです。だけど「これや! このジャケットが俺のイメージや!」って持ってきたのが『フットルース』のサントラ(笑)。
――ダハハハ! しかも曲が元ピンクレディーの未唯さんもカバーした『ネバー』。「♪ネバ、ネバ、ネバ、ネバ〜〜」っていうズレまくった選曲で(笑)。
鈴木 実際、会場でかけたらシーンと静まり返っちゃって。「すいませんでしたぁ!」って謝りにきましたね(笑)。
――さすがだなぁ。そのあと、『爆勝宣言』を作曲をするときに橋本さんから「『猪木ボンバイエ』を超える曲、作ってみろ!」と言われたみたいで(笑)。
鈴木 あの曲を超えるのは、いまでも難しいんじゃないかと思ってるんですけど。当時はお互いに若かったから熱い気持ちで取り組みました。この曲を作るまで、橋本さんとはケンカぐらいの勢いでブツかって、そこで素直な気持ちで僕が「頑張るから作らせてよ」と言ったら、「よし、任せるよ!」と言ってくれて。
――熱いなぁ! じゃあ、さぞかし気に入ったでしょうね。
鈴木 ただ……。最初の反応は、「ちょっと違う」って思ってたフシもあったんですよ(笑)。デモを聞かせたら遠回しに「あんまギターうまくないね」とか「このフレーズ、自分流のひき方だね」とか。
――中盤に炸裂するギターソロにそんなダメ出しを(笑)。
鈴木 最後は「いい曲できたよ!ありがとう!」と喜んでくれましたし、ずっと使い続けてたから、気に入っていたとは思うんですけど。
――新日本の選手がテーマ曲を総とっかえしたときも、破壊王だけは『爆勝宣言』を使い続けましたし。あとビッグマッチ限定のイントロ付きバージョンもありますね。
鈴木 あ、あれは坂本龍一さんの映画『ラストエンペラー』のサントラの曲を加えただけなんです。橋本さんが中国修行から帰ってきたとき、安易ですけど「『ラストエンペラー』かな」って(笑)。
――単純に中国つながりで(笑)。でも、この曲への思い入れは強いですか?
鈴木 この曲がなかったらこの道を歩んでなかったし、最初に橋本さんとブツかり合わなかったらテーマ曲作りはやってなかった。いまの自分があるのは橋本さんのおかげであり、橋本さんのせいですね(笑)。あと、個人的にもよく遊んでもらいましたし。
もの凄いショックを受けて1年くらい音楽の機材をまったく触らなかった
――橋本さんの新弟子へのイタズラの数々を目の前で目撃していたようですね。
鈴木 僕はお客さんだったから、あまり被害に遭ってないんですよ。ただ、一度だけイタズラをされたんだけど。
――あ、やっぱり被害者でしたか(笑)。
鈴木 道場で橋本さんや新弟子時代の天山なんかと、遊びでベンチプレスをやっていたんです。最初はわざと20キロくらいの軽いバーベルをやらされて、橋本さんが「できんじゃん!」なんて褒めるんですよ。そのあと60キロにも成功したら「スゲーな〜!」っておだてるからその気になってきた。でも、そのあとかなり増量されたら上がらなくて「ダメだ、上がらない。助けて!」って言ったとたん、橋本さんも若手もサーッといなくなって……。
――うわ〜。コワイですねぇ!
鈴木 バーベルがドンドン首のほうにくるから、涙流しながら「オイ! オーイ!」って叫んで。「助けてぇええ!」と絶叫した瞬間、天山がヒョイって持ち上げてくれた。でも、こっちが怒れば怒るほど、橋本さんはゲラゲラ笑ってて。どうやら最初から演技してたみたいでね。ただ、天山だけは申し訳なさそうに「ホント、すみませんねぇ〜」って気遣ってくれて(笑)。
――そこでも天山は“いい人”でしたか(笑)。
鈴木 でも、僕は奮起してバーベルを上げるため、(佐々木)健介と一緒にトレーニングしてね。健介も「橋本はヒドいヤツだ」なんて協力してくれて。最終的に100キロまで上がるようになりました。あの頃はテレビのスタッフと一緒に巡業してたから、レスラーも分け隔てなく接してくれてましたし。ホント、いい時代でしたねぇ(しみじみと)。

――それから鈴木さんといえば、武藤(敬司)さんの『HOLD OUT』も超名曲ですね。でも破壊王の「♪む〜と〜ちゃんはハゲる〜♪」の替え歌で武藤さんが、テーマ曲を変えてしまって。
鈴木 ホント迷惑ですよ!(笑)。ただ、武藤さんはいま全日本プロレスで『HOLD OUT』の2007年バージョンを使用してくれてるんです。そのバージョンをお願いされた理由が「橋本を思いだすから」って泣かせる理由で。その話は『kamipro』でも話したんだけど、もしかして完全に入場テーマを『HOLD OUT』に戻したのは、その記事がきっかけだったかもしれない。
――いや〜、素晴らしい話ですね。
鈴木 ただ当時の武藤さんはあの替え歌にはかなり怒ってました(笑)。でもじつは、橋本さんは『HOLD OUT』に嫉妬してたみたいで。「なんだよ!ムトーちゃんのほうがいい曲じゃないかよ!」ってよく言われました。「『爆勝宣言』だっていい曲でしょ」って言うと、「そうだけどさぁ〜」って。
――完全に子どもですね。でも、今回の新バージョンは喜んでるんじゃないですか?
鈴木 じつは生前に「いつか、オーケストラで録音したいね」なんて話してたんですけど……。橋本さんが急に亡くなって、僕ももの凄いショックを受けて1年くらい音楽の機材をまったく触らなかったんです。そのあと全日本から小島聡選手の曲の依頼を受けてこわごわやり始めたら、感触が戻ってきた。それで、「いまこそやろう!」と今回の企画を持ち込んだんですよ。
――まさに「時はきた!」と。それが新録のきっかけになったんですね。
鈴木 ドラムもベースもオーケストラも全部、生で録り直しました。ただ録り終えても「約束を果たした」って感慨はなかったんですが、こうやって取材を受けてると、「橋本さんの約束があったから、こうしているんだ」って、今頃感傷的になっちゃってね……。
――きっと天国で喜んでるでしょうね。しかも、近いうちに会場でも披露されるという話があるようで。
鈴木 まだ明かせないんですけど。ファンが喜んでいただけるようなプランを考えてます。楽しみにしてください!
――新バージョンの『爆勝宣言』のお披露目に期待してます。ありがとうございました!
【08年6月23日/都内にて取材】
※オーケストラver.で新たな生命が吹き込まれた「爆勝宣言 -活- 〜オーケストラバージョン」は、7月11日に「mu−mo」(携帯サイト http://mu-mo.net/)にて、着うた(R)、着うたフル(R)として独占配信!(2週間限定)。鈴木修さんのオリジナルニューアルバム「STYLUS」は、今秋発売決定!
- 関連リンク:「mu−mo」(携帯サイト)

