Kamiインタビュー

どうなる!? 大晦日の『Dynamite!!』中継! あの“変態座談会”メンバーが「テレビと格闘技」を語りまくった!!【後編】
もはや日本の風物詩となった感すらある、大晦日の格闘技テレビ中継。今年もTBSで『Dynamite!!』が5時間放送。格闘技界にとっても大晦日のテレビ放送は、最重要事項の一つとなっている。そんな流れを受けて、『kamipro』で格闘技テレビ番組コラムを連載中の構成作家・椎名基樹さんと、その椎名さんとは“変態座談会仲間”である本誌・堀江ガンツが「格闘技とテレビ」について、大いに語り合った。これを読めば、大晦日の『Dynamite!!』中継がもっと楽しくなる! 『kamipro』No.129の「テレビと格闘技」特集もぜひ合わせてお読みください!※【前編】はこちら!!
テレビによって格闘技がねじ曲げられることこそ最悪だよ
――椎名さんは、格闘技にはテレビって絶対に必要だと思ってるわけですよね?
椎名 うん、テレビは必要。
――では、テレビが関わることによって、格闘技の本質的な部分が若干捻じ曲がったりすることについては、どう思いますか?
椎名 もう最低でしょ! そんなことがあるなら、テレビなんてないほうがいい! 俺個人的には、会場とかPPVで観られたらいいんだから。
――たとえば、このあいだの魔裟斗のK−1 MAX準決勝と決勝って、業界関係者の感想は「ホントに魔娑斗は素晴らしい」っていうのが多いんですけど、ファンとか一般視聴者からは「あんなの八百長判定だ」みたいな声が多いんですよ。椎名さんはどういう感想ですか?
椎名 「魔娑斗素晴らしい!」って感じ。
――テレビによるゆがみみたいなものは感じませんでしたか?
椎名 いや、魔裟斗が優勝するのが一番いいっていうのは、主催者もテレビ局ももちろん考えてただろうし、望んでたとは思うよ。でも、それは事前に魔裟斗が勝つことが決まってたわけじゃなくて、コックリさんと同じだと思うよ。
――コックリさん?
椎名 みんなの潜在意識によって、10円玉が「ま……さ……と」って動くみたいなさ。
ガンツ なるほど、魔娑斗の優勝はコックリさんだったんですね(笑)。
――ただ、テレビってフィルターがかかると、何か捻じ曲がるんじゃないかって思ってしまうんでしょうね。
椎名 世の中そうみたいよ。必ず「八百長でしょ」って言いかたするもんね。じっくり見てない人はとくに。でも、K−1はこれまで、そう思われてしまうような判定がけっこうあったじゃん。だから、そういう信用はずいぶん失なってるよね。このあいだのセーム・シュルトvsピーター・アーツ(K−1 WORLD GP開幕戦)だって、アーツは勝ってねえだろって思うもん。
――逆にいま真面目にスポーツ中継として格闘技を流して、視聴率って獲れるもんなんですかね?
椎名 現状の組まれてる試合じゃ難しいかもね。でも、凄い試合、おもしろい試合だったら、ふつうに獲れると思うよ。PRIDEでやった五味vsマッハ、ヒョードルvsミルコ、ノゲイラvsサップみたいな試合が流れるんならね。
――試合がおもしろい、凄いだけで獲れますか?
椎名 獲れると思う。格闘技の場合、試合がおもしろいっていうのと番組がおもしろいっていうのが、限りなくイコールに近いから。おもしろいものって、やっぱり獲れるんだよ。俺がテレビで放送作家やってるときも「あ、これ獲れるな」って思うときは視聴率って獲れてたからね。わりかしそうなんですよ。これはおもしろかったなって回は獲れてるの。
――そういうもんなんですね。では、DREAMの宇野薫vs青木真也の試合ってどうでした?
椎名 いや、素晴らしかった。でも、あれはDREAM自体の人気がまだないのと、試合も「最高!」とまでは言えないからかな。さっき言った、3試合をいっぺんにやるぐらいの番組だったら、絶対に視聴率獲ると思いますよ。
視聴者をナメちゃいけない。俺たちバカじゃねえぞって(笑)
――でも、格闘技界の現状を考えると、あの試合で視聴率が獲れないっていうのはキツいですよね。
椎名 あと、青木はいまのところ男の格闘技マニアには人気あるけど、婦女子に人気がないでしょ?
ガンツ 青木だけじゃなく、格闘技自体、いま女性ファンが少ないですよね。
椎名 PRIDEと比べても減ってるよね。でも、逆に言うとPRIDEとか『HERO‘S』はなんで女の子にも人気あったんだろう。基本的に女の子は格闘技嫌いだよね。
ガンツ でも、いま男がテレビを観ないじゃないですか。ゴールデンタイムって、とくに女性というか、主婦層が占める割合がかなり高い。だから、いろんなテレビ番組がおばちゃん向けみたいになってるけど、主婦層に向けた格闘技番組っていうのも難しいですよね。
椎名 だけどホントにね、おばちゃん狙っておばちゃんの視聴率獲るって難しいよ。
――難しいですか。
椎名 俺もそんなにテレビの仕事やってるわけじゃないけど、テレビ番組って視聴率が落ちてくると、だいたい「女の子にもわかるような番組に変える」とか言いだすのよ。そうすると、番組自体がおかしくなって、逆にもの凄く視聴率悪くなったりするんだよね。
ガンツ じゃあ、いまこそ格闘技は本道に戻すべきなんですね。ちゃんとやろう! っていう。
椎名 ちゃんとやるしかないよね。格闘技っていうソフトはおもしろいものなんだからさ、ちゃんとそれを伝えるっていうね。
ガンツ 年末年始は、各団体が勝負懸けてくるでしょうから、なんとかテレビを通じて盛り上がってほしいですね。大晦日の『Dynamite!!』だけじゃなく、1月4日の『戦極』もテレビ東京でなんらかのかたちの放送があるだろうし、WOWOWで放送されるUFCの年末のビッグイベントも楽しみですしね。
椎名 ホント、うまくこのチャンスを活かしてほしいよ。テレビの都合でスポーツの部分がグチャッとなるのは困るけど。その点、PPVだけのUFCはやっぱり安心して観れるよね。
――でも、UFCはテレビじゃなくて、親会社のカジノの影響を受けそうですけど(笑)。
椎名 そうなの?
ガンツ この金融危機で、UFCの親会社であるステーション・カジノがかなりヤバい状況らしいんですよね。でも、「カジノがつぶれたので、UFCもつぶれます」なんてなったら、世界中の格闘技ファンがやりきれないですよね。
椎名 それは困るな。なんとかしてくれっていう。でも、UFCってそんなに危ないの?
ガンツ まあ、UFCっていうかカジノビジネスのほうなんで、それから世界的な金融不安が元になってる話なんで、どうなるかホントにわからないですね。
椎名 でも、WOWOWの運の悪さを考えると、UFCがなくなるのもありえるかな(笑)。
ガンツ ちょっと前もUFCにミルコが参戦した途端に、放映終了になりましたからね。
椎名 だって凄いよ。「UWFの放映決定!」ってなったらケンカ別れで解散(笑)。「タイソンが試合やるぞ」って言ったらレイプで実刑(笑)。
――そういうジンクスがあるんですね。
椎名 格闘技界には「WOWOWが放映決定すると終わる」「金原弘光が所属すると終わる」っていう二大ジンクスがあるんだよ(笑)。
ガンツ ダハハハ! じゃあ、金ちゃんが所属して、WOWOWが放映してたリングスは終わっても仕方ないですね(笑)。
椎名 俺自身はWOWOWも金原も大好きなんだけどね。WOWOWは男の子の味方ですよ。格闘技、映画、サッカー。最高じゃん。
ガンツ ちなみに金原選手はIGF参戦しました(笑)。
――で、そのIGFはメインスポンサーが降りる降りないって噂が絶えませんよね。
椎名 さすが金原先生!(笑)。
ガンツ やってくれますね。
――まあ、いずれにしても年末年始はなんとか盛り上がって、視聴率も獲ってほしいですよね。
椎名 石井(慧)に出てきてほしいね。石井と朝青龍が出てきたら、視聴率の心配なんて、まるで必要なくなるでしょう。
――でも、それは一時的なものでしょうから、しっかり格闘技自体が盛り上がってほしいですけどね。
椎名 F1みたいになってくれればいいけどね。ちゃんと定着して、深夜だとしても質の高い番組が放映されて。
ガンツ やっぱりちゃんとした番組が観たいですからね。
椎名 うん。K−1 MAXもそうだけど、魔裟斗があれだけ凄い試合してるのに、世間から八百長みたいに思われたら、こんなひどい話ないからね。やっぱり視聴者をナメちゃいけない。
――視聴者はそんなに頭悪くないってことですね。
椎名 悪くないよ。テレビ局は俺たちのことバカだと思ってるかもしれないけど、そんなことねえぞって言いたいよね(笑)。
――バカにすんな、と。では、大晦日のテレビに期待しましょう!

