Kamiインタビュー

5.24『ZST.20』で大一番決定! 宮田和幸に聞くアマチュアから“プロ格闘家”への道のり
5月24日の大会でナンバーシリーズがついに20回目をむかえるZSTに、今回は宮田和幸が参戦。永田克彦と“五輪コンビ”を結成し、ZSTの常連ファイターである奥出&山田(元・高校生ファイター)と対戦する。今回、その宮田にアマチュア時代のエピソード、そしてプロ格闘家に転向して4年以上経過したいま、あらためて考える理想の格闘家像などをうかがった。――5.24『ZST.20』では宮田さんと永田克彦選手がオリンピックコンビを結成されるということですので、今日はアマチュア時代のお話からうかがいたいと思います。
宮田 よろしくお願いします。
――まず、アマチュアから総合格闘技の世界に入られて最初どうでした?
宮田 僕、ほかの選手と違ってデビュー当時から『HERO'S』という大きな舞台に出させてもらってたんで、いきなりトップクラスの選手との試合だったんですよね。期待してるぶんそういうふうに試合させてもらえてたと思うんですけど、「申し訳ないなあ」と思うと同時に「早く追いつきたい」って気持ちでした。
――あらためて対戦相手をみると、厳しい相手ばっかりですもんね。ただ、レスリングでエリート街道を歩かれてきた宮田選手だけに、思うように勝てないのは葛藤がありませんでした?
宮田 でも僕レスリングのときから勝ちっぱなしじゃなかったですし、オリンピックでもそうでしたから、とくにそこは考えなかったですね。
――そもそもの話ですが、総合に転向したのはどうしてですか?
宮田 現実的に企業スポーツって凄く厳しいんですよ。オリンピックが終わった時点で会社的には「仕事しろよ」って感じになるんでしょうね。ちょうど僕がレスリングを引退したときも会社に余裕がある状態じゃなかったんでしょうし、もういいかげん仕事してくれって感じだったと思います。

――具体的に、どんな仕事をされてたんですか?
宮田 僕は人事部でした。まあけっこう下っ端だったんですけど、面接の手伝いとかですか。年齢的にも中間なんですよ。当時は28歳だったんで。
――そんなに早く引退されてたんですね。
宮田 でも、アマチュアのレスリングって25歳ぐらいがリミットなんですよ。で、仕事はそんなにつらくはなかったですけど、やりがいがなかったんですよね。もう僕としては「この筋肉どうしてくれるんだ!」っていう。
――確かに(笑)。
宮田 飲み会で見せるぐらいしか使い道がないなって(苦笑)。だって、筋肉ってぜんぜん落ちないんですよ。練習はしてなかったんですけど、10年かけて作った筋肉はやっぱ10年かけて落ちるらしくて、バキバキの身体で仕事してたんで「冗談じゃない」って。そんなときですよね、総合やろうと思ったのは。
――総合の試合はご覧になったことがあったんですか?
宮田 テレビではよく観てましたし、好きでしたね。当時はちょうどKIDが有名になりつつある時期だったんで、レスリング出身の人がか活躍してるのが嬉しくて。当時は僕がその舞台に上がるとは思ってなかったですけど、そういう僕の意志を大学の先生に相談したら、その先生が谷川さんと知り合いだったみたいで。
――そんな強力なパイプがあったんですね。
宮田 でも、紹介してもらった次の月に試合だったんですけどね(笑)。
――えー! さすが谷川さん。いきなり打撃がある総合ルールは怖くなかったですか?
宮田 怖かったですけど、それより僕の場合は打撃の練習やってても組み付いちゃうんですよね。やっぱりレスリングになっちゃうというか。で、そうなると総合の選手と僕が組み合ったときにやっぱり大人と子どもぐらいの差があるから凄い弱いなと思っちゃうんですよ。
――なるほど、なるほど。
宮田 そうすると、やっぱり自然と投げちゃうんですよ。この前もDEEPに出たとき(4.16DEEPソ・ジェヒョン戦)に「いい試合しよう」と思ったんですけど、組んじゃったらもうぜんぜん差がありすぎて投げちゃって。
――レスリングはポイントで勝てる部分があるから、頭でわかってても身体がそういうふうに反応してしまうんですかね。
宮田 だから最初はしんどかったです。
――そういう意味では総合に転向する上で何が一番つらかったですか?
宮田 いまもそうなんですけど試合時間が長いことですね。15分間というのはもたないです。
――『HERO'S』は5分3ラウンドですけど、DREAMは1ラウンド10分、2ラウンド5分ですもんね。
宮田 だから僕、判定の試合ってほぼないんですよ。最後までもたないし、身体がぜんぜん動かなくなっちゃいますから。だから勝つときも3分ぐらいだし、逆に5分すぎたら負けが多いですね。
――それってウィークポイントをバラしちゃうような発言ですけど、大丈夫ですか?
宮田 いや、だから前からスタミナは伸ばそうと思ったんですけど、最近はもうあきらめて、最初からバーッと勝負しにいこうと思ってますね。
――そっちを強化しよう、と。ところで、最初に上がった舞台が『HERO'S』だということですが、演出から何からギャップが凄かったんじゃないですか?
宮田 毎回オリンピックみたいな感じですよね。だって、アマチュアの大会は観客席で選手が弁当食ってることとか普通でしたもん。
――はー。そんな大舞台に上がってた宮田さんが、先日始めてDEEPに参戦されたじゃないですか。ご自身にとってDEEP参戦というのはどう捉えてますか?
宮田 単純に早く試合をしたかったということと、最近DEEP道場でも練習させてもらってて佐伯さんともそういう話ができたんで。今回のZSTも上原くんと同級生だったというつながりもありましたし。そういう安心感がありますね。

――ご自身ではDREAMという舞台に対してはいかがでした?
宮田 僕はとくにDREAMにこだわりはないんですけど、まあ僕自身DREAMに出るもんだと思ってた部分はあります。でも、65キロぐらいで出られる舞台で信頼できるところだったらどこでも試合したいですね。だから最初は海外も視野に入れてたんですけど、まあそこは外国人特有の時間がかかる感じになっちゃったんで。
――とにかく早く試合がしたい、と。
宮田 そうですね。ケガがないんだったら月1回でも試合したい感じです。
――そんな中、今回ZSTに出場されるということですが、ZSTにはどういうイメージがありますか?
宮田 やっぱり所選手のイメージです。僕も自分のためにやる試合はアマチュアで終わりにしようと思ってました。そのつもりだったんですけど、実際はやっぱり勝ちたいという欲も出てきちゃうんですよ。一番最初に『HERO'S』でイアン・シャファーと闘ったときは、つまんない試合しちゃったなって。そこから反省して、勝ち負けはいろいろありますけど、判定決着はないんで。
――確かに判定はその1試合のみです。
宮田 最初からパウンドでも関節でも100パーセント取りにいってるし、関節の技術でいうと、まあ、青木くんたちとも練習できてるんで、自信にはなってるというか。で、アマチュアから『HERO'S』に上がった当初もいい試合はしたかったんですけど、僕には技がなかったんですよ。タックルしか。倒すことはできるけど、そのあとが困るというか。だから始めて半年は「仕方がないのかな」と思ってました。やっぱり関節技一つ覚えるのにも1年以上はかかると思いますし。
――そのあたりは冷静に分析されてますね。いまあらためて宮田さんが思うプロの格闘家像というのはどういう感じですか?
宮田 たとえば、この前のマッハvs青木の試合はおもしろかったですよね。煽りから全部完ぺきだったような気がします。ああいう感じに「おお!」って興奮するような試合をしたいですね。
――あれは選手や関係者のあいだでも凄く評価が高いですね。青木選手の発言含めて。
宮田 だから青木くんはプロだなって。いい仕事したなって思います。僕、ああいうこと言えないんですけど、言えるようにしないとダメですよね。今日(ZSTのカード発表会見)も言おうかなあと思ってたんですけど、会見前にバタバタしちゃって迷子になったりして全部飛んじゃいました(苦笑)。
――そうですか(笑)。あと、先日のDEEPでは前田さんがセコンドに着いてましたね。
宮田 前田さんには『HERO'S』のときにお世話になりましたから。そもそも僕の兄貴がプロレス凄く好きだったんですよ。とくに新日派だったんで『HERO'S』で前田さん見たときに僕もファン目線で「スゲエ、前田日明だ!」って思っちゃって。で、前田さんも『HERO'S』の選手に目を懸けてくれてたし、DREAMになってから何かのタイミングでお会いしたときに「週1回、練習来いよ」って言ってくださったので。だからいま週1回行ってますね。

――練習って、もしかして……スクワット2000回とかですか?
宮田 あ、そんな感じですよ(アッサリ)。ゴッチ式トレーニングで40分間連続補強とかあるんですけど、それをやったらもう階段上がれないですから(苦笑)。
――過酷な練習ですねえ。前田さんといえば所選手のセコンドにもついてましたけど、一緒に練習したりもするんですか?
宮田 あ、だから僕と所くんと奥出くんと3人でやってます。でも、タッグマッチとはいえ(『ZST.20』で対戦する)奥出くんと僕が一緒に練習するわけにはいかないんで、僕はいまは行かないようにしてますね。
奥出(遠くからやって来て)あ、でも僕も試合前なんでいまは行ってないですよ。
宮田 あ、そうなの?
――ということは……所さんがマンツーマンで練習されてるということですか?
宮田 まあ、そうかもしれないです。
――な、なるほど。では、そんな試合に向けて抱負をお願いします!
宮田 ZST初参戦なんですけど、永田さんといい試合をしたいと思います。でも、タッグマッチ始めてなんで、ちょっと勉強しないとダメですね。
――ええ。いい試合を期待してます! それではハードトレーニング中の所さんと前田さんによろしくお伝えくださーい。
【08年5月3日/都内・ゴールドジムサウス東京アネックスにて収録】

