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金沢“GK”克彦のこちらプロレス村役場ドットコム

1961年12月13日、北海道帯広市出身。青山学院大学卒業後、新大阪新聞社に入社。“I編集長”こと井上義啓氏のもとで『週刊ファイト』編集部でキャリアをスタート。その後、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ。99年から04年まで編集長を務める。05年に同社を退社。以後はフリーランスとして幅広く活躍中。テレビ朝日系『ワールドプロレスリング』やサムライTV等で解説を務めるほか、『kamipro』でも執筆。著書に『風になれ』(東邦出版)、『力説』(エンターブレイン)。通称GK(=ゴング金沢)。

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12月11日更新

新日本・名古屋大会で勃発したガチ事件の顛末とは?
プロレス大賞はこうなったけど、私的MVPは田中将斗!

この1ヵ月ほど、いろいろな会場に出向くと、何人かの選手や団体関係者に「プロレス大賞では××をよろしくお願いします」と声を掛けられた。そのたびに「はいはい」と適当な返事をしてきたのだが、これは大きなかんちがい。私は東スポ『プロレス大賞』の選考委員ではないのだ(笑)。

04年10月にいまは亡き『週刊ゴング』の編集長を辞任して以来、そういった賞の選考には一切関わっていない。誰しもそうだろうが、自分の関わっていないものに関心を抱くこともないのだが、ちょうど昨日(12月10日)、『東スポ大賞』の結果がデカデカと東京スポーツ紙の第一面を飾っていたし、なぜかこの『Kamipro.com』ではまったく選考結果を掲載していない(編集部注=現在はアップ済み)ので、その話題で書いてみようと思う。

まず、『2008プロレス大賞』の結果は次の通り。MVP=武藤敬司、ベストバウト=丸藤直道vs近藤修司(11.3両国国技館)、最優秀タッグ賞=鈴木みのる&太陽ケア、殊勲賞=佐々木健介、敢闘賞=田中将斗、技能賞=鷹木信吾、新人賞=澤田敦士。
まあ、武藤が圧倒的な票数(31票のうち28票)を獲得してMVPに輝いたのは大方の予想通りであって、順当な結果。あまりに順当なのでなにかおもしろくない。そのほかでは、健介=2票、丸藤=1票が入っている。そこで、私が自信をもって推薦するMVPは田中将斗だ。
確か昨年も「MVPは田中」と至るところで主張していたような気もするのだが(笑)、今年の田中は新日本との対抗戦でついにメジャーシーンにも登場し、その力量を文句なく業界に知らしめたと思う。

4月の中西戦、金本戦は素晴らしい内容で、とくに中西戦は中西学史上最高の名勝負と言われている。8月の真壁戦(『火祭り』決勝戦)、10月の永田戦(世界ヘビー級選手権)も出色の内容。
おっと、『火祭り』開幕戦で中西と30分ドローの闘いを展開したのも恐るべき実績だと思う。試合を重ねるたびに名勝負を更新していく男は、勝ちっぷりも負けっぷりもあっぱれなのだ。

そこで先だって、さらに田中というレスラーの評価を決定的にするシーンに出くわした。新日本の12.6名古屋大会での出来事だ。当日、テレ朝『ワールドプロレスリング』の解説が入っていたため、私は名古屋&大阪(7日)の2連戦をハシゴ取材した。この2日間でもっともインパクトを放ったのが、名古屋大会で組まれた永田&金本vs田中&大谷の対抗戦。
結果的に、田中が永田をスライディングDの3連発でフォールし、1.4ドームでの再戦を決定付けたのだが、これがとんでもない試合となった。試合のテーマは、永田vs田中の因縁がどう展開していくか? にあった。ところが、4月に田中にシングルで敗れ、06年の1.4東京ドームで大谷にも完敗を喫している金本が異常に殺気立っていた。

某誌の報道でもそうだったが、「喧嘩腰で」と表現すればプロレス的になんでも解決してしまうが、金本の場合はあきらかに仕掛けている。
田中が膝立ち状態から、いわゆる四点ポジションにいるときだった。普段の金本なら後頭部から背中・首筋あたりに蹴りを見舞うところだが、金本は田中の顔面を二度も蹴り上げていった。
さらに、エプロンでエキサイトする大谷に対して、右ストレートを放った。これは大谷がスウェーで交わしたものの、この状況で試合を最後まで成立させたところが凄い。

普段の温厚さが嘘のようにブチ切れる金本のプッツンぶりはつとに知れ渡っているが、ここまで仕掛けるのは珍しいこと。あとで周囲の声を拾ってみると、「不慣れなハンディカメラとケーブルさばきの人間が邪魔で、金本はイラついていた」という証言も聞かれたのだが、それでは単に八つ当たり。
やはり、金本浩二の磁場を狂わす何かを田中&大谷が持っているのだ。その証拠に翌日、金本は「勝ち逃げは絶対許さへんぞ!」と咆哮した。一方、永田はこう証言している。

「ああいう試合はどうかな? と思ってしまう。でも凄いのは田中将斗ですよ。あんなモロに顔面を蹴られて、普通だったら気持ちが萎えてしまうか、感情的になって試合を壊してしまうかなのに、ちゃんとカムバックしてきて俺から説得力のあるフォールを獲ったからね。彼は凄いワ!」。
素の永田がここまでほかのレスラーを褒めるのは珍しいこと。やはり、私の中で「田中将斗こそMVP」という気持ちは確信的なものとなったのだ。

 さて、そのほかであるが、私的ベストバウトは文句なくカート・アングルvs永田裕志。ベストタッグ賞はテンコジだろう。最終的に、テンコジに関しては「賞狙いのタッグ結成」と敬遠されたようだ。ただし、「友情」なる泥臭いフレーズをキーワードに、実際公私共に友情で結ばれているからこそ、リング上でもガチで泣いてしまうテンコジの姿をもっと真正面から捉えてやってほしかった。

まあ、三賞は妥当なのだろうが、丸藤なんかには「永久技能賞」を贈りたい。解せないのはやはり新人賞で、話題性だけで澤田敦士を選考するなら石井慧に贈呈すればいい。プロレスをしっかり観ているのであれば、新人賞は内藤哲也、KAI、ゼウスの3選手から選考してほしかった。