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金沢“GK”克彦のこちらプロレス村役場ドットコム

1961年12月13日、北海道帯広市出身。青山学院大学卒業後、新大阪新聞社に入社。“I編集長”こと井上義啓氏のもとで『週刊ファイト』編集部でキャリアをスタート。その後、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ。99年から04年まで編集長を務める。05年に同社を退社。以後はフリーランスとして幅広く活躍中。テレビ朝日系『ワールドプロレスリング』やサムライTV等で解説を務めるほか、『kamipro』でも執筆。著書に『風になれ』(東邦出版)、『力説』(エンターブレイン)。通称GK(=ゴング金沢)。

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6月2日更新

需要と供給が見事一致した二大イベント!
キン肉マニアもスーパージュニアも大爆発


『キン肉マニア』はプロレス関連イベントの中では過去、JCBホール史上最高の入りだった


「さぁーて、どうしようかなあ?」と迷いつつも5月29日は、JCBホールで開催された『キン肉マニア2009』の観戦に出向いた。イベントのスタート10分前に会場に着くと、入口付近は黒山の人だかり。「なんじゃ、こりゃ!」と驚いて受付をしている時に、たまたま主催サイドのHさんが私を見つけてくれて、「これ、まともに行くと大変ですから」と裏口のエレベーターに案内してくれた。

グッズ購入者の人だかりなのだが、午後7時開始にもかかわらず、その3時間前にはグッズ目当てのファンで大騒ぎだったという。そういえば、公式パンフレット制作に関わっていたプロレス探検隊の小松隊員も「エッヘッヘッヘ……パンフ完売しましたよ!」とニコニコ顔。まさに、NIGOさんも真っ青という感じの盛況ぶりだった。会場は超満員。少なくとも、プロレス関連イベントの中では過去、JCBホール史上最高の入り。客層は圧倒的に30代が多く、このへんが「キン肉マン」直撃世代なのだろう。様々なスキットが織り込まれた煽りXもウケまくる。私には、何のことやら理解できないシーンでもドッと沸く。キン肉マンは、再放送のアニメや単行本で多少かじっているが、ここまでマニアックになると、軽い疎外感にも包まれる。

こうなると、各種、超人たちの正体当てに専念するしかない。動きを見ていると、全身コスチュームに覆われている超人でも、その正体が見えてくるのが楽しい。そんな状況で、永田 vs 男色ディーノが実現したり、いつの間にかIWGP王者の中西とアシュラマン(Tさんですね!)が初タッグを結成していたりと、プロレス的に見ても楽しい絵柄が満載。ただし、美濃輪育久が挑戦したキン肉マンだけは、どうにも正体不明。周囲の関係者も、みんなキン肉マンに関してだけは「?」だった。

不粋と思われるかもしれないが、後から一生懸命、正体探りをしてみたところ、ピンと来た。あの男だ! そりゃ気付かないはずである。立場は人を変えるというが、キン肉マンの超人キャラはレスラーまで変えてしまったのである。同時に、イベント中は別のことも考えていた。おそらく、この超満員の観客のほとんどは「キン肉マン」フリークであって、現行のプロレスを観ている人は3分の1もいないのではないか? ということ。レスラーとしてそのまま登場した選手の中で、一番人気は永田だった。本来であれば、もっとも旬の男“野人”中西人気がダントツであっておかしくない。やはり、あの客層に一番届いているのはいまも永田裕志なのである。

こういった人たちをまたプロレス会場に動員できれば、ファン層はまた広がりを見せるだろう。そういった意味でも、メジャー系選手がこういった場にどんどん進出していくのは、もはや不自然ではないし、むしろ必要不可欠なことになると思う。

他団体から4選手をブッキングしたのが、まさにドンピシャリではまった


そんな思いを抱きつつ、翌30日、新日本の後楽園ホール大会(『ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア2009』開幕戦)に足を運んだ。これがまた超満員だった。試合開始前から熱気が充満している。しかも、その期待感はキッチリとジュニア戦士たちへ向けられている。ひさしぶりに、いい感触だ。主催側の提供するものと、ファンのニーズがピタッと合致しているからだ。

そういえば、ここ数年、新日本のジュニア層の高齢化が進んできた。90年代、文句なく世界最高峰と言われた新日ジュニア戦線であるが、思ったより若い芽が出てこないのだ。ライガー、金本、邪道、外道(欠場中)、AKIRAといった面々は40オーバーの世代となり、タイガーマスクでさえ、気が付けばキャリア14年とベテランの域に入った。また、もっとも伸びてきた新世代のノ―リミット(内藤&裕次郎)はTNA遠征中とあって、やはり内部闘争だけではマンネリと限界を感じてしまう。

ここで、他団体から4選手をブッキングしたのが、まさにドンピシャリではまったように思う。ノアから菊地毅(40オーバーだけど)と青木厚志、ドラゴンゲートからYAMATO、DDTから飯伏幸太というメンバー。青木は社会人レスリング出身でプロデビューは28歳と遅いが、キャリアはまだ3年半。YAMATOは27歳で、キャリアは3年弱。この世代でいえば、ドラゲーの中では出世頭にあたる。飯伏に関しては説明不要だろうが、27歳でキャリア5年。小学生のころから遊びでムーンサルトプレスをやっていたというナチュラルボーン・プロレスラーなのだ。 

開幕戦ではベストカードが組まれた。まず、田口 vs YAMATO。田口はいまが全盛期であり、新日ジュニア勢の中ではもっとも試合内容が充実している。YAMATOの攻撃をすべて受けとめて、鹿殺しで初陣を飾った。YAMATOは基本的にヒール路線の選手なのだが、試合内容は基本に忠実な正統派。3年弱のキャリアで田口と渡り合うのだから、ドラゲーのレベルの高さは本物である。

タイガー vs 青木は予想通りに噛み合った。とにかく、タイガーという男は現王者ながら異色の存在。14年のキャリアを持っていながら、いまだに固いのだ。新日道場でも、タイガーだけは今も極める練習ばかりに没頭している。この頑固さは師匠譲りなのか? タイガーの試合に名勝負が少ないと言われる所以もそのあたりに起因しているような気がする。

その固いタイガーを相手に、青木も強さを見せつけた。青木の魅力は、やはりレスリング出身者ならではの体幹の強さにある。殴り合っても張り合っても、体の軸がぶれないのだ。そこに、必要最小限の飛び技と、オリジナルの関節技を織り交ぜていく。本当に「飛べる鈴木みのる」といった様相なのである。最後は、タイガーがバズソ―キックで完勝。しかし、逆に青木という存在によってタイガーが生きたように私には見えた。

メインの金本 vs 飯伏は素晴らしかった。館内の熱狂指数は、もう優勝決定戦といった趣。しかも、金本コールを飯伏コールが凌駕してしまったのだから、いかに飯伏がファンのハートを鷲掴みにしたか、よく分かると思う。2年前にも、新日本は飯伏にオファーを出す予定だったが、飯伏の怪我でタイミングが合わなかった。それを思うと、この2年間寝かせて大正解である。敗れても、スター誕生という空気にホールは包まれている。

無論、金本の気合も半端ではなかった。試合前、万全を期して古傷のある両膝、腰に痛み止めの注射を打ってからの出陣だった。つまり、金本の中では、実際にこの一戦は優勝決定戦クラスの意味合いを持っていたということ。開幕戦で大爆発したジュニアの祭典。6.14最終戦(後楽園ホール)が、マジで楽しみになってきた。