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金沢“GK”克彦のこちらプロレス村役場ドットコム

1961年12月13日、北海道帯広市出身。青山学院大学卒業後、新大阪新聞社に入社。“I編集長”こと井上義啓氏のもとで『週刊ファイト』編集部でキャリアをスタート。その後、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ。99年から04年まで編集長を務める。05年に同社を退社。以後はフリーランスとして幅広く活躍中。テレビ朝日系『ワールドプロレスリング』やサムライTV等で解説を務めるほか、『kamipro』でも執筆。著書に『風になれ』(東邦出版)、『力説』(エンターブレイン)。通称GK(=ゴング金沢)。

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7月7日更新

真夏のG1で新世代は田中将斗を体感せよ!
杉浦貴は、新日本の最強中年族を思い知れ


ここ最近の新日本プロレスの会場の盛況ぶりと集客には目を見張るものがある


6月13日、三沢光晴さんが逝去して以来、リング内外で目まぐるしく揺れ動いていたプロレス界。4日に、三沢さんのお別れ会が催され、昨日(6日)、田上明新社長の就任を始めとするノアの新人事が発表されて、ようやくひと段落といった感もある。

一方で、リング上は凄まじく盛り上がっている。とくに、ここ最近の新日本プロレスの会場の盛況ぶりと集客には目を見張るものがある。前々回の当コラムで触れたように、6.20大阪府立体育会館大会は、4〜5年ぶりに見る超満員を記録しているが、7.5後楽園ホール大会も立ち見が出るほどの観客を動員。試合内容も充実していた。

とくに目を引いたのは2試合。私が常々「格の違う名勝負数え唄」と称してきた永田裕志 vs 石井智宏は、やはり期待以上の中身を披露した。試合前、私の顔を見るなり「格の違う……は余計ですよ! それが余計だって証明しますからね」と石井はニタっと笑っていたが、確かにその言葉通りだった。石井の場合、やられっぷりにしてもカムバックの仕方にしてもタイミングが抜群であって、それが観客の心に響くのだ。

試合後、永田も正直な感想を漏らしている。「あいつの上手さは群を抜いてますよ。洋央紀なんかも、石井から勉強しなきゃいけない」。これが現実なのだ。スター性でいえば、中邑、後藤、岡田かずちかのほうが遥かに上であっても、プロレスラーとしての完成度では石井のほうが上回っている。石井のような選手を観るにつけ、中邑と後藤にはさらに高みを目指してもらいたいと思う。

そして、メインイベントのIWGPジュニア・タッグ選手権、モーターシティ・マシンガンズ vs アポロ55のノンストップバトルには、唖然とさせられた。モーターシティ(A・シェリー&C・セイビン)に関しては、ZERO1初来日時代からずっと見て来ているが、さらに進化している。来日回数は少なくても、彼らは日本マットの状況を完全に把握しているのだ。田口&デヴィットとは二度目の対戦になるわけだが、彼らは最近のアポロ55の試合もビデオなりで研究しているのだと思う。そうでなければ、これほど凄まじいノンストップバトルを20分以上もやれるわけがない。それは、田口&デヴィットも同様だろう。

もっと極端に言うなら、これがプロレスではなく、映画や演劇における殺陣のシーンだったとする。そこで、もしこの攻防を20分間やるとなったら、それこそ何ヵ月と繰り返し練習が必要になると思うのだ。そこでひとつ新しい発見があった。この異次元バトルもまたプロレスのリアリティをより世間に訴えるものなのだと思う。テレビゲームさえ超えるような実写版のバトル。こんな攻防はモーターシティ絡みでなければあり得ない。

ブチ切れた時の天山の強さときたら、まさに新日本最強といった側面も持ち合わせている


05年7月、ノアの東京ドーム大会で大喝采を浴びた小橋建太 vs 佐々木健介の超肉体派プロレスがプロレスラ―にしか表現できない闘いだとすれば、こちらも対極に位置しながら、プロレスラーにしか表現できない超次元バトルだと思う。当日、『Jスポーツ』の解説に付いていた山本小鉄さんと試合後にトイレでバッタリ会ったのだが、小鉄さんのようなストロングスタイル志向の人がこういった試合をどう見ているのか、非常に気になった。

ところが、小鉄さんは「モーターシティはいいと思うよ。スタミナがあるし、いつもコンディションいいからね」と褒めていた。小鉄さんも認めるのだから、やはりこれもまた素晴らしいプロレスなのだ。

さて、当日、ビジョンで真夏の祭典『G1クライマックス』の出場メンバー12選手が発表されたが、外敵として名を連ねていたのはノアの杉浦貴だけ。残る2枠の外敵は後日発表とされた。その直後に、邪道&外道の手引きでなんと田中将斗が乱入して、IWGP王者・棚橋にスライディングDを見舞いKOしてしまった。

田中は先の7.1新宿FACE大会で崔領二を破り世界ヘビー級王者に返り咲いたばかり。また、今年の『火祭り』には前人未踏の4連覇を懸けて出陣が決まっている。通常であれば、ZERO1の看板を保持して、ZERO1最大のイベントに出場する男が、同時期に他団体のリーグ戦に参戦するのは不可能というより、タブーなのである。

しかし、行動を起こしたということは、田中はタブーを破ってG1にも照準を絞ったことになる。実際、『G1』と『火祭り』の日程が被るのは、8月8日だけ。新日本は大阪大会で、ZERO1は後楽園ホールの優勝戦である。ただ、『G1』の場合、1ブロック=7名で、公式戦の日程は7戦あるため、出場選手には必ず1日だけ公式戦のない日が出てくる。つまり、強行スケジュールを覚悟するなら、参戦は可能なのである。田中自身は早くもその気満々であり「棚橋と同じブロックにしろ!」とぶち上げている。また、「アメリカで棚橋なんか誰も知らないが、元ECW世界王者のタナカの名前はみんなが知っている」と豪語する。まあ、それも当たっている。

田中の出場が正式に決定すれば、もう田中と杉浦の存在だけで私の場合、大満足なのである。以前から、主張していることなのだが、新日本の新世代、棚橋、中邑、後藤の3人は田中将斗を体感すべきだと思う。永田、中西、金本、真壁を相手に名勝負をやってのけた名勝負製造マシン、田中とは何たるかを体で知ってほしいのだ。好勝負は当然として、必ず新しい発見や驚きがあるだろう。まったくルーツの違うインディー育ちながら、メジャー系レスラーを凌駕する力量を身に付けた男。そんな田中と対戦することは、彼らの将来に大きなプラスをもたらすと思う。

その反対に、すでに中邑、後藤と対戦し、7.20札幌大会で棚橋の保持するIWGP王座に挑戦が決まっている杉浦には、永田、中西、天山との対戦を期待したい。新日本マットでは、格闘仕様の強さを存分に発揮する杉浦。自らを「中年の星」呼ばわりしているが、新日本には杉浦以上に年季の入った、強い中年がどんと控えている。それが永田、中西である。同じレスリング出身で総合マットも経験済みの2人との対戦は、むしろ杉浦にとって最高に刺激的な経験になるのではないか?

それに天山などはうかうかしていると、一発で杉浦に持っていかれてしまうかもしれない。またその反対に、後輩に舐められてブチ切れた時の天山の強さときたら、まさに新日本最強といった側面も持ち合わせている。杉浦相手にブチ切れた天山……いやあ、もう想像しただけでワクワクしてくる。

さて、問題の残り1枠だが、これは意外な団体から意外な実力派が候補に挙がっているという噂だが、はたして……?