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金沢“GK”克彦のこちらプロレス村役場ドットコム

1961年12月13日、北海道帯広市出身。青山学院大学卒業後、新大阪新聞社に入社。“I編集長”こと井上義啓氏のもとで『週刊ファイト』編集部でキャリアをスタート。その後、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ。99年から04年まで編集長を務める。05年に同社を退社。以後はフリーランスとして幅広く活躍中。テレビ朝日系『ワールドプロレスリング』やサムライTV等で解説を務めるほか、『kamipro』でも執筆。著書に『風になれ』(東邦出版)、『力説』(エンターブレイン)。通称GK(=ゴング金沢)。

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2月9日更新

誰よりも中邑真輔の踏み台になってきた7年間……
野人の本気の怒りをハチャメチャにぶつけちゃおう!



挑戦に向けてのモチベーションを無理に言葉で説明しようとするから上手くいかない


どうもおかしい。どうも乗りきれない。なにがって、新日本プロレスの大一番、2・14両国国技館大会までとうに1週間を切っているのに、なぜかピンとこないのだ。2月14日がバレンタイン・デーだから? いや、そんな催し物(?)はアラフィフで高血圧気味のオイラにはもはや別世界、別次元のお話。バレンタインといえば、猪木の宿敵だったジョニー・バレンタインであり、息子のグレッグ・バレンタインしか思い浮かばない。

では元横綱・朝青龍の引退騒動が世間を騒がせているからか? いやいや、これほどの大スターの話題でさえも、アレから2日、3日と経てば一般の朝刊紙には朝青龍の名前さえ出てこない。それが世の中というものなのか。また、こういった騒動が勃発すると必ず巻き起こるスワッ「格闘家転向か?」「プロレス転向か?」といった話題も意外なほど盛り上がってこない。これも、この御時世を映し出しているのかもしれない。

たとえば、曙や石井慧の周辺でプロ格闘家転向の噂が流れとき、さらにプロデビュー決定の際には、一般紙(誌)から、コメントを求める電話が「これでもか!」と掛かってきた。だが、今回はそういった電話もない。そう、みんな分かっているのだ。朝青龍の良き先輩にあたる曙の口から、「彼は絶対に格闘技には行かないと言ってた」と釘をさすコメントが真っ先にでたこともあるだろうが、昨年末『Dynamite!!』での石井慧の闘いっぷりを見れば、自ずと答えが導き出されてしまう。あまりに競技のレベルが高くなってしまった総合格闘技の世界で、付け焼刃は成功しない時代になってしまったのだ。それなら中邑真輔がチラッと口にしたように、「総合でいろんなものを制限するより、プロレスのリングでタガをはずして闘う姿のほうが興味深い」という発言のほうがピンとくる。

ただし、プロレス界には朝青龍を獲得する億単位のお金はどこを探しても見つからないだろう。やはり、どちらにも現実味がないから、盛り上がらないのだ。その一方で、この引退騒動に関してモンゴルでドルゴルスレン一家を代表して声明を出したのが朝青龍の兄であるセルジブデ。通称=ブデ、あのブル―・ウルフである。新日本時代のブデは明るいし性格もよくて、朝青龍が02年11月場所で大関として初優勝したときにコメントを求められると、「弟はボクより断然強いからね。でも、ボクのほうが頭はずっといいんですよ」と笑っていたのが印象的。そんな話はともかく、元気なブデの姿を見られたことだけは収獲だった。

話はかなりそれてしまったが、そういえばバンクーバー冬季五輪も開幕間近とあって、そちらの影響もあるのだろうか? 当の2月14日(日本時間)には、日本のメダル獲得が期待されるジャンプ(ノーマルヒル)決勝、女子モーグル(フリースタイル)決勝も行なわれる。しかし、競技の時間帯は深夜から昼過ぎなので、両国大会にはまったく被ってはこない。

「無理に理屈を付けてコメントを出そうとするからじゃないですかね? いらないでしょう」


ということは、2.14両国にはなにが足りないのか? そう、中西学の野生が足りないのだ。あの1.4ドーム大会のメイン終了後、激闘の余韻をぶち壊すかのように、あまりにKYに王者・中邑の前に立ちはだかった中西。あそこまではよかった。王者も挑戦者も放送席も呆れかえるほどに本能のままの行動である。しかし、その後の中西はどうも芳しくない。挑戦に向けてのモチベーションを無理に言葉で説明しようとするから上手くいかない。どう考えたって、口で中邑に勝てるわけがない。

たとえば、「荒鷲掴みはあくまで入口であって、その奥にある“中西御殿”ちゅうのは凄いものやで」と相当におもしろいコメントを発してくれても、中邑はまったくもって冷静に切り返す。「中西選手の客間に行ったことはないんで……。言葉で求めると、中西学はとりとめのない着地点を探すような言葉になるから」。これは参る!

かつて、ケンドー・カシンは中西が発するあらゆる言語をすべてギャグに換えるという戦法(?)で、中西の怒りを買い、中西はカシンの“カ”の字、石澤の“い”の字を聞いただけで拒絶反応を示していたものだ。中邑の場合、ギャグにするわけではないが、ストレートかつ理詰めに中西語録を斬り捨ててしまうから、これもまた痛い。こうなると、中西は黙りこむしかないのである。

それを象徴するかのように、去る5日、サムライTV『Sアリーナ』に出演した中西は、意外なほど言葉少なで、三田佐代子キャスターもガッカリ。「これまでの棚橋戦とか、そういう試合の話は盛り上がるのに、こと肝心の中邑戦になると言葉があまり出ないんですよね? 『今さら言うこともない、やるだけです』みたいな感じで」と困惑していた。

そういえば、今月1日にサムライTVの『Versus』(高山善廣×中邑真輔)の収録の際、私はアバウトな進行台本&進行役を務めたのだが、収録前の雑談のなかで、中邑はこんなセリフを口にした。私が「なんか今回、中西に盛り上がりを感じないんだよね。去年の棚橋のIWGPに挑戦したときのような……」と振ると、「中西さんは無理に理屈を付けてコメントを出そうとするからじゃないですかね? いらないでしょう。『中邑はムカつくし大嫌いだ。それに俺はなんとしてもIWGPが欲しい!』。それでいいと思うんですよ。だってそれが本音でしょう?」と中邑。

たしかに、そうだ。中西には失うものがない。なんせ過去、中邑とのシングル戦には全敗。『G1クライマックス』に限っていえば、05年、07年、09年と公式戦で3連敗を喫している。正直、中邑が規格外ルーキーとしてデビューしてからこの7年、中西はもっとも踏み台とされてきた男なのだ。だから第三世代“最後の砦”なんていうフレーズも似つかわしくないし、必要ない。中邑によってもっとも踏み台にされてきた男、屈辱を舐めさせられてきた野人の7年分リベンジマッチなのだ。中邑もそんな過去の歴史を分かっているからこそ、「ムカつくし嫌いだと言えばいい」と思っているし、「フィジカルの強さはニッポンイチか世界イチか……本気で怒った中西学がリングに立っていてほしい」と未知の恐怖感と戦慄を待望している。

そう、理屈はいらない。そういえば、遡ること4年前のトリノ五輪で女子フィギュアスケート金メダリスト、荒川静香のイナバウア―に感銘を受けたという中西は“マナバウアー”というよく分からない大技を編み出した。奇しくも冬季オリンピック・シーズンとモロ被り。せっかくだから、テレマーク式ニ―ドロップとか、ツイスター・ジャーマンとか、スケルトン・スピアーとか、ハチャメチャな命名の大技を公開してほしい。そうすれば、遠くバンクーバーの地から中西を応援することになる吉野真治アナは、地団太踏んで悔しがること間違いなしである。

ああ、急にIWGP戦が私のなかで勝手に盛り上がってきたぞー!!