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kamipro編集部・大川義之プロフィール

1973年5月20日、大阪府大阪市出身。中学・高校教師を経て、02年に日本語講師として渡韓。大学で日本語を教えながら、韓国総合格闘技の草創期からその成り行きを目撃。大会の観戦を重ねていくうちに、ライターや通訳、現地コーディネイターとして日本・韓国格闘技業界とかかわりを持つようになる。06年から『kamipro』誌上で韓国格闘技情報の月刊コラム「インサイド・コリア」の寄稿を開始。08年に帰国と同時にダブルクロスへ入社。09年6月よりフリーライターとして活動中。

5月17日更新

「韓国でのCM訴訟でヒョードル側が敗訴した理由とは? ネオファイト復活! 日本からあの選手が参戦!」

新MMA団体や立ち技イベントの立ち上げが発表され、徐々に活況を取り戻しつつある韓国格闘技界だが、今週はスピリットMCと並ぶMMAのパイオニア的イベント、ネオファイトが2年ぶりにプロ興行を復活させることを発表した。今週もそんな話題とともに、以前報じたヒョードルの訴訟問題の詳細など、気になる情報をお届けします。

■韓国でのCM訴訟でヒョードル側が敗訴した理由とは? 


このコーナーの4月26日更新分の記事でもお伝えしたが、韓国の韓国養蜂農協が製作したハチミツのCM無断制作の件でエメリヤーエンコ・ヒョードル側がこれを不当として訴訟を起こしていたが、5月13日、韓国のソウル中央地方裁判所(部長判事イ・ソンチョル)は原告であるヒョードル陣営の訴えを棄却。第一審でヒョードル陣営の敗訴が確定した。

今回の訴訟の原告はヒョードルとM-1グローバルのワジム・フィンケルシュタイン、そしてヒョードルの韓国内のマネジメントを務めるブイキューブ・ホールディングスで、被告は大韓サンボ連盟と韓国養蜂農協。当初、ヒョードル側は「撮影をすると言った覚えはない」と発言したことからCMの無断作成が訴訟の核心と思われていたようだが、訴状によると「07年9月から放映したハチミツの広告によって格闘家としてのイメージを傷つけられ、肖像権を侵害された」ことだった。ヒョードル側は損害賠償として15億5千万ウォン(約1億1767万円)を要求。ヒョードルは07年1月20日、韓国ソウル市奨忠(チャンチュン)体育館で開かれた『M-1 MFCロシア vs 大韓民国』大会でロシアチームの団長として訪韓。ヒョードルは、同大会でサンボの師匠とともにサンボのエキシビションを披露。件のハチミツのCMには、このヒョードルのサンボのエキシビションの部分が編集されて使用されていたが、原告は被告がこの件について事前の了承がなかったこと、事後の同意もしていないこと、さらには使用された映像が“人類最強”のヒョードルのイメージに合わないものだった、と主張。

韓国の裁判所は、まず「ヒョードルはCM撮影で『ハチミツがいい』という韓国語を自ら語るなど、積極的に協力した」ことを理由に無断撮影の可能性を一蹴。さらに原告の主な訴訟事由である「ヒョードルの試合シーンを無断で編集し、広告に使用したこと」については、07年にヒョードル本人を含む27人の往復の航空券を含む韓国滞留費用全額、およびM-1の大会運営費(被告の主張によれば3億5千万ウォン=約2億657万円以上)を被告が負担したとして「ヒョードルのCM出演は当然の義務」として被告の賠償責任を認めなかった。

韓国の格闘技メディア「Xsports News」が5月15日に報じた記事によると、「もちろん裁判所が判断したようにCM撮影自体がヒョードルの当然の義務なのかは異見もあるだろう。しかし参加した大会のスポンサーの広告内容が、たとえ“最強”のイメージにふさわしくないからといって15億5千万ウォンの訴訟を起したことは、判決の是非にかかわらず後味がよくない。また勝訴はしたものの、被告側に名を連ねていた大韓サンボ連盟もヒョードルの招請に3億5千万ウォン以上を支払ったと言うが、07年6月24日に開かれた『スーパーサンボ』大会に出場した韓国人選手のギャランティ未払い問題をいまだに解決していないなど、問題もある」などと批評している。

訴訟内容が棄却されたことについて大韓サンボ連盟のムン・ジョングン会長は「裁判所が訴えを棄却し、原告に対してすべての訴訟費用を負担せよという判決を下した。この件には2年以上も苦しめられてきたが、ヒョードルに対してはなんの嫌悪感もない。しかし、ヒョードルを利用して金を儲けようとした人々には、おおいに怒りを覚える。結果的にヒョードルにも、とばっちりが及んだかたちとなった」とコメント。さらにムン会長は「最近、ロシア大使館が設立した“大韓民国サンボ協会”は“不純団体”だ。ヒョードルがこのような不純団体に騙されていることが残念。ロシアが認めるサンボ団体は我々の大韓サンボ連盟だ。ヒョードルを担ぎ出してメディアにあれこれ言わせても、その事実は変えられない」と主張するなど、韓国でヒョードルの周囲には金儲けを狙ってさまざまな動きがあることを指摘した。

一方、今回の訴訟の手続きを担当したヒョードル側のマネジメントを務めるブイキューブ・ホールディングスのチャン・インテク代表は「ヒョードルはお金を受け取ってはいないのに、裁判所にはお金を受け取ったと判断されたようだ。また証人も大韓サンボ連盟側の人ばかりだった。今回の棄却の決定は敗訴を意味するものではない。1週間後に判決文が出れば弁護士と相談したうえで今後の措置を取る」と明らかにし、控訴も辞さない姿勢を打ち出している。第1ラウンドはヒョードル陣営の敗訴に終わったものの、訴訟問題は泥沼化しそうな気配だ。

■ネオファイトが2年ぶりに復活! 



韓国の複数の格闘技メディアが報じたところによると、6日4日、韓国ソウル市・新道林(シンドリム)テクノマート11階グランドホールルームにて『ネオファイト12』の開催が決定した。ネオファイトは、もともとスピリットMCの運営陣が分裂して、新たに立ち上げた武術系の総合格闘技イベントで、05年4月に旗揚げ戦を開催。活動が活発だった時期には、パンクラスなどと協力体制を築いてメジャーMMAイベントとして活動していたが、次第にグラウンドの攻防を制限したルールを導入し、逆に立ち技のみの試合を増やすなど、脱MMA路線を強めていた。サイドビジネスで人気を博していたクラブファイト『Gimme5』で選手の死亡事故を起こしてからは、徐々に興行規模を縮小させ、07年の4月のイベントを最後に、活動を休止していた。

2年ぶりに復活するネオファイトは、同大会で階級別のトーナメントやワンマッチなどを含め8試合を行なう予定となっている。ほかにも実験的な試みとして3 vs 3の特別チーム対抗戦を行なうという。これは3分3ラウンドのルールだが、1ラウンドごとに選手が交替して出場し、ラウンドごとに採点して3ラウンド終了後に勝敗を決定するという一風変わった団体戦とのこと。ネオファイトのチョン・ソンウク理事は「現在、韓国の格闘家は増えているが、大会は逆に減少している。大会が開催されても試合数が制限されており、多くの選手が試合に出場できない。可能なかぎり多くの選手がリングに上がれるように3 vs 3の試合を計画した。今後も団体対抗戦を増やしていく計画だ」と説明。

ネオファイトは出場が確定した選手を発表しているが、海外からはUFCのTUFシーズン9に出演したウェルター級ファイターのレイ・エルビー、日本のパンクラスで活躍中の花澤大介13やムエタイ選手などが出場する。韓国番選手としては『HERO’S』韓国大会に出場歴のあるヘビー級のイム・ジュンス、チームタックルのヤン・ヘジュン、コリアン・トップチームのソ・ドゥウォン、キム・ジフンらが出場する。

■第1回韓国ブラジリアン柔術連盟全国大会開催!!



5月10日、韓国ソウル市倉洞(チャンドン)スポーツ文化コンプレックスにて、第1回韓国ブラジリアン柔術連盟(BJJFK)全国大会が開催された。大会は約180人の選手が参加する大規模なもの。この大会には日本ブラジリアン柔術連盟(BJJFJ)の事務総長・早川光由、格闘技ウェアを扱うリバーサルの磯毅寛部長も大会を協力・支援するために訪韓。今年から韓国ソウル支店をオープンさせ、韓国人ファイターら熱心にスポンサードしているISAMIソウル支店も会場で製品を販売したとのこと。
同大会では韓国のプロ選手も多く参加し、好成績をあげている。スピリットMCで2勝3敗のキム・オクミョンは青帯76キロ以下級で優勝。スピリットMCで2勝1敗、日本のパンクラス66キロ以下級で1勝1敗の戦績を残すチョン・ジンソクは青帯64キロ以下級で優勝。スピリットMCでミドル級の次期挑戦者決定戦を経験しているキム・ホジンが白帯の部、無制限級で優勝、88キロ以下級3位の記録を残している。

■立ち技新団体『武神』旗揚げ戦のコンセプトは“MMA vs テコンドー”


5月15日、韓国の武術系ニュースメディアが報じたところによると、国際テコンドー連盟(ITF)が全面バックアップする立ち技格闘技の新イベント『武神』の旗揚げ戦(6月7日、韓国ソウル市・奨忠体育館)のコンセプトが“MMA vs テコンドー”になるという。大会を主催するMXMのオ・チャンジン代表は旗揚げ戦で韓国ミドル級のMMAファイターの強豪イ・ジェソンとITF-JAPANの高木浩二の試合を発表した。
日本の高木は、全日本テコンドーチャンピオンで世界テコンドー選手権でも3位に入賞している。高木はこの試合に向けて「韓国の格闘技家はテコンドーが実戦格闘技に向いていないという認識を持っているという話を聞いた。自国のスポーツになぜ誇りを持てないのかわからない。今回の大会でテコンドーの優位性をハッキリさせる。相手が誰であろうと関係ない。新しい経験をしたいならかかってこい」と挑発。
一方のイ・ジェソンは、韓国総合格闘技の第一世代で、03年のスピリットMCの発足時から定期参戦し、ミドル級(80キロ以下)のトップファイターとして活躍した選手。現在はDEEPやZSTなどで活躍する在日韓国人ファイターのRYOとともに韓国の人気リアリティショー『GO! スーパーコリアン』のシーズン1のメンバーでもある。同イベントは“MMA vs テコンドー”のコンセプトで今後も vs カードを発表していく予定。

以上、今週の韓国格闘技情報でした。来週もお楽しみに!