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kamipro編集部・大川義之プロフィール

1973年5月20日、大阪府大阪市出身。中学・高校教師を経て、02年に日本語講師として渡韓。大学で日本語を教えながら、韓国総合格闘技の草創期からその成り行きを目撃。大会の観戦を重ねていくうちに、ライターや通訳、現地コーディネイターとして日本・韓国格闘技業界とかかわりを持つようになる。06年から『kamipro』誌上で韓国格闘技情報の月刊コラム「インサイド・コリア」の寄稿を開始。08年に帰国と同時にダブルクロスへ入社。09年6月よりフリーライターとして活動中。

11月30日更新

キム・ミンスが2年ぶりに韓国で復活も、戦闘竜に失神KO負け! スピリットMCに続き『武神』、FMCも消滅か!?

日本では大晦日に向けて、格闘技界再編の動きが連日報道されているが、韓国では立ち技&MMAの混合イベントである『The KHAN』が1年8ヵ月ぶりの大会を開催したことが話題となった。今週は、そんな『The KHAN』情報を含め、停滞を続ける韓国格闘技界の気になる現在の時用今日についてもお伝えします。

■『The KHAN2』でキム・ミンスが戦闘竜に失神KO負け!


11月27日(金)、韓国・ソウル市内にあるセントラルシティ・ミレニアムホールにて、MMAと立ち技ルールのミックスイベントである『The KHAN』が1年8ヵ月ぶりの第2回大会を開催した。この大会はMMAルールでキム・ミンス vs 戦闘竜、キックルールではイム・チビン、イ・スファン、“美人K-1ファイター”らといった韓国のK-1ファイターたちが、ガオグライ・ゲーンノラシン、ヴァージル・カラコダといったK-1常連ファイターを迎え撃つことで注目を集めた。

FEGとの契約が切れたことでフリーとなっていた“韓国の柔道王”キム・ミンスは2年ぶりの復帰戦で日本の戦闘竜とMMAルールで対戦。ひさしぶりの自国での試合で気合の入るキム・ミンスだったが、1R序盤に戦闘竜のカウンターストレートを浴びてフラフラになり、続けて右フックと膝蹴りの追撃を受けてわずか72秒で失神KO負けを喫している。韓国期待のキム・ミンスは敗れたものの、明るい話題もあった。同じくMMAマッチではチェ・ムベの秘蔵っ子、ヤン・ヘジュンが日本の恩田剛徳(志村道場)と対戦。“韓国次世代の大物”と期待のかかるヤン・ヘジュンは恩田の足関節に苦しむ場面もあったが、1R終盤にタックルで相手をロープ際に押し込み、左フックで恩田にKO勝ち。これでヤン・ヘジュンはプロデビュー以来、破竹の4連続1RKOを記録。チェ・ムベが「ウチの秘密兵器」と称するその実力を発揮している。

キックルールでは10.26『K-1 WORLD MAX』横浜アリーナ大会で長島☆自演乙☆雄一郎を秒殺KOした中国のシュー・イェンと対戦するはずだったイム・チビンが大会直前で負傷欠場。代わりにイ・スファンがシュー・イェンと対戦したが、1Rにシューにダウンを奪われる苦しい展開。だが、イ・スファンは2R以降、得意のボディブローとローキックでペースを取り戻し、このラウンドでシューに逆転のTKO勝ちを収めている。一方、この大会でガオグライとカラコダといったK-1 MAXの常連外国人は、韓国人キックボクサーに大苦戦。ガオグライは韓国のヘビー級ファイター、ミョン・ヒョンマンにまさかの判定負け(3R終了2-0)を喫し、カラコダはノ・ジェギル相手に延長ラウンドの末になんとか辛勝。また、同大会では4人参加の女子キックルールのワンデイトーナメントも行なわれたが、“美人K-1ファイター”として韓国で注目を集めているイム・スジョンが優勝し、ビジュアルだけのファイターではないところを証明して見せた。

今回の『The KHAN』の第2回大会は、約1年8ヵ月ぶりの開催であり、定期的に大会を開催できていないものの、FEG KOREAの理事を務めるヤン・ミョンギュ氏が大会をプロモーとしているため、FEG KOREAの選手をブッキングできるという強みを持っている。大会は毎回テレビ中継されていることから、韓国ではメジャーイベントとして扱われているだけに、今後の『The KHAN』の活動にかかる期待は大きそうだ。

■早くも消滅? 09年に旗揚げした『武神』、FMCはどこへ?


先週は『The KHAN』の開催に沸いた韓国格闘技界だが、かといって現在も楽観できる状況ではないようだ。1年以上も活動を休止しているスピリットMCに取って代わるかたちで、今年になって韓国では国際テコンドー連盟と提携した『武神』が6月に旗揚げし、8月にはMMAイベントであるFMCも旗揚げした。

しかし、『武神』は7月末に第2回大会を開催してから急に活動が止まり、FMCも旗揚げ戦でギャラの未払い問題を未解決のまま、活動を停止している。こうした中、韓国の格闘技専門メディア『MFIGHT』が11月27日付の記事で、韓国格闘技イベントの現況をレポートしている。同記事によれば、「最近、『武神』を主催する会社であるMXMは、ソウル市の中区にある事務所を閉鎖した。大会を発足させたキム・ポムソク大会運営本部長、イ・スヨン審判委員長などの関係者もすでに会社を退社している」と報じ、早くも「このまま『武神』の消滅する可能性が高まった」と指摘している。

これに対し、MXMの代表を務めるオ・チャンジン氏は「確かに事務所を閉鎖しましたが、それは『武神』というイベントが消えたということではなく、国内大会の開催はしばらく保留して海外で大会を開催する予定です。いまは12月のアメリカ大会を準備しているところ」と“団体消滅説”を否定。国内での開催もままならない『武神』が、にわかに海外でイベントを開催するとは、なんとも無謀な計画に思えるが、『武神』としてはITFの活動が活発な国で、地元で人気のあるテコンドーファイターらを起用して大会を開催するつもりのようだ。

この12月のアメリカ大会は、アラバマ州での開催を予定しており、韓国からは“釜山の重戦車”チェ・ムベを含め、2名の韓国人の出場がほぼ決定しているという。だが、これに対しても『MFIGHT』は「韓国内での『武神』の大会開催が無期限保留となり、(韓国の)格闘技市場の沈滞はさらに続くものと見られる」と、今後の韓国格闘技界について悲観的な見方を示している。同じく『MFIGHT』は同記事でほかの格闘技イベントの現状についても言及し、「『The KHAN』は1年8ヶ月ぶりに復活はしが、まだその安全性については確信できない。スピリットMCは『再開にされる』という噂が広がっているが、具体的な内容は何も発表されていない。FMCも同様にまだ大会を開催するというと便りはない」と、何も進展はないとしている。

この『MFIGHT』の記事とは別に、本誌が独自にキャッチしたところでは、少し前に日本のある格闘技関係者のもとにFMCの関係者を名乗る人物から某選手の試合のオファーがあったというが、『MFIGHT』の記事を見る限り、具体的な動きはないに等しいようだ。数年前とは違い、現在の韓国人選手のレベルが上がっている一方で、韓国内では格闘技イベントの数が絶対的に足りていない状況が続いているようだ。

■M-1グローバルの韓国進出強化で何が起こるのか?


こうした氷河期ともいえる韓国格闘技界に、進出しようという海外のMMAイベントもある。それが11月中旬にエメリヤーエンコ・ヒョードルとともに訪韓していたワジム・フィンケルシュタイン氏が率いるM-1グルーバルである。韓国滞在中にワジム氏は地元のスポーツメディア『XSPORTS』のインタビューに答えている。

まず、ワジム氏は11月7日(現地時間)にアメリカで開かれたストライクフォースにM-1グローバルから参戦したヒョードル、ゲガール・ムサシについて「ヒョードルは今回初めてケージで闘いましたが、彼はリングだけでなく、常にケージで闘うトレーニングをしていますから、作戦の面でもまったく問題はありませんでした。試合も素晴らしい内容だったので、私も満足しています。また、ゲガール・ムサシはM-1グローバルのファイターとして海外で勝利し続けており、M-1グローバルの名を広く世界に知らしめてくれています。彼はオランダとロシアを行き来ながらヒョードルと一緒にトレーニングをしていますし、非常にセンスがよく、同時に破壊力を兼ね備えたファイターと言えるでしょう」とコメント。

次にM-1グローバルの今年の活動と今後の展望を尋ねられると、ワジム氏は「今年はまだ12月3日に『M-1チャレンジ FINAL』ロシア大会の開催が残っていますが、09年はM-1グローバルにとって多くの成果がありました。我々のイベントは全世界20ヵ国以上の国で放送されていますし、アメリカ、ロシア、韓国では大会が生中継されていてよい反応を得ています。11月のストライクフォースでM-1グローバルのファイターであるヒョードルとムサシが勝利して、さらに気持ちのよい一年となりました。来年の目標はアマチュアファイターの育成プロジェクトである『M-1セレクション』をさらに活発化させ、この舞台で活躍したファイターは、『M-1チャレンジ』させたいと考えています。『M-1チャレンジ』は全世界による国家対抗戦で、約400万円の賞金がかかったイベント大会です。ここで活躍した選手は『M-1ブレイクスルー』に参戦することができますし、さらにその上の舞台にはヒョードルとゲガール・ムサシらが活動しているストライクフォースがあります」と語り、今後もストライクフォースとのパートナーシップを強めて、アマチュアからスタートするピラミッド型の組織運営の構築に力を入れて意向を示した。

最後に「韓国で興味を持っている選手は?」と聞かれると、ワジム氏は12.3『M-1チャレンジ FINAL』ロシア大会への出場が決定しているヘビー級のイ・サンス、11.27『The KHAN』韓国大会でもKO勝ちしたヤン・ヘジュン、『M-1チャレンジ』に出場歴のあるミドル級のホ・ミンソク、ライト級のナム・ウィチョル(元スピリットMCのウェルター級王者)の名前を挙げた。ワジム氏が名前を挙げた選手の中には、ストライクフォースの関係者の目にとまった選手もおり、『ストライクフォース・チャレンジ』及び本戦への出場がオファーされているという。M-1グローバルの韓国進出の強化は、韓国人選手にとっても新たなメジャーMMAイベントへの道筋となる可能性を秘めていると言えるだろう。韓国国産の格闘技イベントに勢いがない現在、M-1グローバルが韓国格闘技界にはたす役割は大きくなりそうだ。

以上、今週の韓国格闘技情報でした。来週もお楽しみに!